尿路結石について

【症状】

 

尿路結石には発生場所によって4種類に分類されます。

 

①腎結石

痛みは少なく鈍痛が起こります。

肉眼的血尿が出る場合もあります。

 

尿検査によって発覚する顕微鏡的血尿は頻発です。

この場合の尿は赤くないので自覚しにくいことがあります。

 

②尿管結石

急性に発症する腰部や側腹部での激痛が起こります。

肉眼的・顕微鏡的血尿も頻繁に合併します。

肋骨脊柱角(背中)に叩打痛がみられます。

 

*①腎結石、②尿管結石で全尿路結石の90%以上を占めます。そしてこの二つをまとめて上部尿管結石と呼びます。

*結石ができても自然排出することは多く、その際には排尿時の尿道痛が起こることがあります。

*適切な予防を行わないと何度も再発します。

 

③膀胱結石

主な症状は、血尿排尿時痛排尿障害です。

①②が尿とともに流れてきて膀胱で止まることが原因となります。

 

④尿道結石

主な症状は、血尿排尿障害疼痛です。

尿道を狭窄すると尿線途絶を起こします。

 

【診療科】

 

泌尿器科、内科、腎臓内科

 

 

【検査】

 

尿路結石を疑う症状を訴える患者さんが外来を訪れると、

以下のような検査を行います。

 

超音波検査

 

侵襲が無いため、スクリーニング目的で行われます。

結石は高エコーを示します。

 

5mm以上の結石であれば同定することができます。

ただ、結石のできた部位によっては描出できないこともあるので、

結石を確実に否定することはできません。

 

尿検査

 

顕微鏡的血尿がみられると様々な泌尿器疾患を疑うことになります。

 

そのうえで、高尿酸尿だと尿酸結石を疑います。

 

単純CT検査

 

確定診断に有効です。

結石は高吸収域として白く描出されます。

 

結石の種類によらず描出することができますし、

小さな結石も確実に描出できます。

 

また、腎臓や周囲の臓器についても評価することができるので、

水腎症などの合併が無いかも調べることができます。

 

【結石の原因】

 

結石にはその成分によって種類が分類されます。

 

シュウ酸カルシウム

 

尿中のシュウ酸やカルシウムが増えると形成されます。

副甲状腺機能亢進症では血中のカルシウムが増加し、

尿中に排出される量も増えるため、

 

リン酸カルシウム

 

高カルシウム尿だと結石が起こりやすくなります。

 

リン酸マグネシウム

 

女性に多く、ウレアーゼ産生菌の尿路感染症が大きな原因となります。

 

尿酸

 

高尿酸血症などの疾患をすでに持っていると、

尿中の尿酸が増えるので、尿酸結石を高率で発症します。

 

また、尿酸排泄促進薬を服用していると、

同じく尿中の尿酸が増えるので、結石になりやすいです。

 

その他

 

シスチン、キサンチンなどが尿中に増えると結石ができやすくなります。

X線検査では写らないため、CTで発見されます。

 

 

【治療】

 

疼痛の緩和

 

鎮痛剤の投与を行います。

結石の発作は激痛が襲いますので、痛みのコントロールが必要になります。

 

保存的治療

 

結石のサイズが10mm以下の場合は、

飲水により自然に排出されるのを促します。

薬物で石を溶かして小さくなったところで自然に排出されるのを待ちます。

 

そのほか、適度な運動も大切になってきます。

利尿剤を用いることもあります。

 

薬物療法

 

結石のサイズが10mm以下の場合に、

薬物で溶かして小さくすることで結石の排出を促します。

 

<主な薬剤>

 

  • サイアザイド系利尿薬: 尿中のCa濃度を下げる効果あり。
  • クエン酸製剤: Caイオンとシュウ酸やリン酸が結合することを防ぐ効果あり。
  • 重曹: 酸性の尿を中性にする効果あり。
  • 尿酸生成抑制薬: 尿酸の生成を抑制すると尿中の尿酸も減少する。

 

積極的除去法

 

疼痛コントロールが難しい場合や、保存的治療で長期間排出できない場合、

他の腎泌尿器疾患を合併している場合には積極的に結石を排出します。

 

また、10mm以上の大きな結石の場合にも行います。

 

①経尿道的尿管結石破砕術(TUL)

 

尿道からカテーテルを入れ、結石をレーダーで破壊します。

細かくした石は無理に摘出せず、

自然排出されるのを待ちます。

 

TULが尿管結石、膀胱結石、尿道結石に有効で、

腎結石には用いません。

 

②体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

 

最も低侵襲な結石における積極的除去法です。

どの位置にある結石にも有効です。

 

ただ、出血傾向のある患者や、妊婦には禁忌となっています。

 

③経皮的腎結石破砕術(PNL)

 

腎結石にのみ行われる方法です。

背中に小さな穴をあけて、腎臓に直接アプローチし、

結石を砕きます。

 

 

【予後】

 

尿路結石は単発では死に直結する病気ではありません。

 

しかし、

 

  • 結石を放置している
  • 結石ができやすい状態を改善させないまま

 

だと他の病気の合併を起こしてしまうことがあります。

 

<主な合併症>

  • 水腎症
  • 尿路感染症

 

 

【リスクファクター】

 

【原因】のところでも詳しく述べましたが、まとめると、

 

  • 男性
  • 食事内容:欧州化した食文化
  • 内分泌・代謝異常の既往:副甲状腺機能亢進症、尿細管性アシドーシス、クッシング症候群など
  • 飲水不足:尿の濃縮
  • 尿路感染症:女性は大腸菌による尿路感染しやすい
  • 長期臥床:尿のうっ滞、尿路感染症の頻発。
  • 尿路通過障害:尿のうっ滞。
  • 薬剤:尿酸排泄促進薬、ステロイド、アセタゾラミドなど。

 

などが挙げられます。

 

【医学生より一言】

 

尿路結石は痛いです。

また、原因のひとつでもある尿酸が増えると起こりうる

痛風も痛いです。

 

痛い生活は絶対に嫌ですよね。

 

尿路結石は生活習慣の改善で大きく予防することができます。

食生活には少し気を使うだけでもいいのです。

痛くない生活が送れるようにしましょう!!

 

以上です。

 

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