医学生の試験 ~OSCE編~

医学科の大きな試験について

 

医学部に入った後、

医学部生を待ち構えている試験といえばまず思いつくのが

医師国家試験だと思いますが、

 

実はほかにも大きな試験がいくつかあります。

 

その名もCBT(シービーティー)OSCE(オスキー)です。

 

今回はそのうちのOSCEについて紹介していきたいと思います

 

 

OSCE

 

OSCEは全国の医学部生が受ける共用試験のひとつです。

 

「共用試験とは、わが国のすべての医師及び歯科医師育成に携わる医学部・歯学部が、

試験課題を作成、かつ共有して実施することで、

国民・社会に対し医学部・歯学部の卒業生の質を保証するための試験です。」

 

と、公益財団法人医療系大学間共用試験実施評価機構の発行する

『共用試験ガイドブック』に記載されています。

 

一定以上の知識と診察能力を有していることを

この共用試験の合格によって担保しているので、

この試験を受からないと病院実習には参加できません。

 

実習に参加できないということは、

進級できないということになります。

つまり、不合格の瞬間、留年が確定してしまうというのです。

(両試験ともに一度だけ再試験が受けれます)

 

 

医学系の共用試験(医学科の生徒が受けるもの)は、

  1.  臨床実習開始前のComputer Based Testing(CBT)
  2.  診療参加型臨床実習開始後客観的臨床能力試験(Pre-CC OSCE)
  3.  診療参加型臨床実習開始後客観的臨床能力試験(Post-CC OSCE)

の三種類から構成されます。

(歯科学生の受ける共用試験とは異なります)

 

その名の通り①、②は3年生か4年生の臨床実習前に行われ、

臨床実習の終わった6年生で行われます。

 

Pre-CC OSCEは学生が臨床実習を開始するにあたって

具備すべき必須の臨床能力を兼ね備えているかを確認する試験です。

 

必要最低限の共通標準課題として、

 

1)医療面接…模擬患者さんを相手に10分間の医療面接を行います。

2)頭頸部…頭頸部における異常の有無を診察します。

範囲としては頭、眼、耳、鼻、口、咽頭、唾液腺、リンパ節など。

3)胸部、全身状態とバイタルサイン…胸部の異常と呼吸脈拍の不整などの有無を診察します。

4)腹部…腹部の異常の有無を診察します。消化管、肝臓、脾臓などが範囲になります。

5)神経…感覚や運動の異常の有無を診察します。

6)基本的臨床手技、救急、脊柱、四肢

があり、この6課題が試験として実施されます。

7課題以上実施する大学もあるようです。(最大9課題)

 

OSCEは非常に厳正に行われる試験なので、

大学の教員だけでなく、機構から派遣された他大学の先生が来られます。

 

医療面接以外の課題では、模擬患者を医学科の低学年学生が担当します。

 

OSCEの一か月前ほどの時期に、

医学科、看護学科の生徒に有志の募集がかかります。

数年後に控えるこの試験の全体像を把握しておくために

OSCEで模擬患者を経験しておくことをお勧めします。

(少しの報酬が出る場合もあります)

 

 

最後に

 

今回はOSCEについて紹介してきました。

実際に病院実習に入った時に重要な手技を確かめる試験なので、

ちゃんと習得していないと大変なことになります。

 

一方で、実のところOSCEで進級できなくなることは非常にまれです。

ふつうに勉強し、練習をしていれば

不合格になることを恐れるほどの試験ではありません。

(重要な試験であることは変わりありませんが…)

 

今回は以上です。See you~♪

医学生の生活①

医学生の生活 ~第一弾~

 

医学部を目指す人たちにとって医学生の学生生活はどのようなものなのか気になるところですよね。

憧れの医学生生活は、つらい受験生生活のモチベーションにもなっているはずです。

実際のところはどのようなものなのか、紹介していきたいと思います。

 

第一弾となるこの記事では、大学での学業面に焦点を当て、

各学年のおおよその特徴を挙げていきたいと思います。

(各科目の講義が扱われる時期などは大学ごとに少し異なることはご了承ください)

 

医学生の勉強は大変?
<学年ごとの比較>

 

1年次

 

・一般教養 英語、第二外国語、数学、物理学など

総合大学の場合は自分で受ける講義を選択し自分だけの時間割を作ることができ、

他学部の学生と一緒に講義を受けることもあります。

嫌いな教科は選択しなければよく、顔を合わせる必要がなくなるため、

自分史上サイコーの時間割が作れるマス!

一方で単科大学の場合はあらかじめ時間割が決まっていることが多く、

数学、物理学なども必須になっている場合がほとんどです。

 

・基礎医学 細胞生物学、生化学、生理学、解剖学など

高校の生物の発展版のような感じのため、

生物選択の人にとっては少し理解がしやすい内容かもしれません。

しかし、内容は似ていても覚える量は桁違い。油断は禁物!!

各種実験用具の使用方法を学んだりするために、実験系の授業があったりもします。

 

2年次

 

・基礎医学 :生化学、生理学、病理学、微生物学、薬理学など

・基礎実習 :解剖実習、生理学実習など

解剖実習は2年次に行う大学が多いです。(ほかの学年に行う大学もあるようです)

実習が始まり医学生らしくなってきますが、まだまだ座学が中心の勉強となってます。

一般教養が減り、専門が増えるのでますます気合を入れて勉学に励む必要があります。

 

3年次/4年次

 

・臨床医学 外科、内科、産婦人科、小児科、精神科など

各診療科について実際に附属病院で日々診療に当たってらっしゃる先生方が授業をしてくれます。

基本的な病態や治療のみならず、最新の研究や治療法についての話もしてくれるので、自分のキャリアを考える上で大きく参考になることでしょう。

 

・CBT (Computer Based Testing) 

パソコン上で実施される320問から構成される試験

一人一人出題される問題が違うという変わった試験であり、

そのため成績もIRTと呼ばれる試験問題の難易度の差を考慮した値で評価されます。

臨床実習に参加するうえで必須の基本的な医学的知識が問われます。

IRTを400点以上取らないと実習に参加できず、即留年になってしまいます。

 

・OSCE (Objective Structured Clinical Examination) 

     臨床実習を行うための必要な臨床能力が身についているかを確認する実技試験。

病院で患者さんと接する上で必要な力を身に付けます。

 

CBTとOSCEは3年生の冬~4年生の夏ごろに実施されます。(大学によって時期が異なる)

両方を合格しないと臨床実習に参加することができない決まりとなっているため、

いずれか一つでも不合格ということは即留年を意味します!!

(一応再試を受けることができますが、25,000円の再試験料がかかってしまいます)

 

5年次/6年次

 

・ポリクリ(poliklinik)/院外実習 

病院の各診療科を数人の班に分かれてローテンションする臨床実習。

ポリクリは主に大学附属病院で先端で高度な医療現場を、

院外実習は市中病院で主に頻度の高い疾患を扱う医療現場を、

僻地の病院では主に地域医療を勉強していきます。

各大学いろいろな実習コースを用意しています。

院外実習はある程度、自分でコースを選ぶこともできます。

 

・試験勉強 卒業試験、国家試験のための勉強期間

卒業試験は大学ごとに時期は異なりますが夏から冬の期間に行われます。

国家試験は毎年2月上旬に全国一斉で行われます。

もちろん国家試験は追試なしの1発勝負!!

 

国家試験の受験資格は、医学科の教育課程6年間を終了した者にしか与えられないため、

卒業試験を通過しないと留年することはおろか、

その年の国家試験を受けられません!!!

一方でラッキーなことに、他学部生が卒業のために書かないといけない“卒論”が医学科にはありません

卒業試験がその代わりのようなものとなっています。

 

結論から言うと、医学生は在学中は常にある程度勉強し続けないといけません。

その中でも比較的に偶数学年が特に厳しい学年であるといわれることが多いです。

 

理由としては…

2年生…基礎医学系の先生が熱心にテストを作成してくれるおかげで、記述問題を含む難解な試験が多いから。

また、基礎医学の範囲は覚える量が膨大であるから。

4年生CBT,OSCEがあって勉強しないといけないから。

6年生卒業試験、国家試験があり、勉強漬けの日々になるから。

などがあります。

 

ほかにも、上級生になるにつれて

長期休暇も他学部に比べ大幅に短くなっていきます。

高校生の時よりも短くなってしまう場合もあります。

大学生らしい夏休みなどを送りたい場合は

1年生のうちに存分に楽しんでもらうしかありません。

 

医学科は勉強しないといけない範囲が広く、テストが非常に厳しいです。

また、医学科の実習は基本的に100%出席が求められます。

 

そのため、少しのヘマを犯しただけでも

他学部に比べて圧倒的に留年しやすくなっています。

実際、毎年学年で10人前後は留年をしてしまうため、

学年が上がるたびに学年のメンバーが少しずつ入れ替わっていきます。

 

これらの理由から、全国の医学科生のうち6年間で卒業できる生徒は

入学時の約8割程度に留まっています。

入るまでも、入ってからも大変なのが医学部医学科なのです。

大学によってこの進級割合に大きな差があります。

医学部受験雑誌などで取り上げられていることもあるので、

これを大学選びの一つの材料にするのもいいかもしれません。