医学生の日常~勉強編~ 「生理学/基礎生理学」

生理学とは…

 

大まかに言うと、

「生体の機能とそのメカニズムを明らかにする学問」

のことです。

 

生体の機能は複雑で範囲が膨大なため、

教科書の厚さもかなりのものになっています。

 

<基礎生理学の主な学習内容>

細胞の機能(細胞小器官、生体膜、浸透圧)

神経(神経細胞、活動電位、伝導)

筋(骨格筋、心筋、平滑筋、筋電図)

感覚器(体性感覚、聴覚、平衡感覚、視覚、味覚、嗅覚)

高次機能神経(脊髄反射、脳幹、大脳皮質、小脳)

自律神経系(交感神経、副交感神経)

体液(体液調整、酸塩基平衡)

循環(血液、心臓のはたらき、血圧、ショック)

呼吸系(肺の換気、ガスの運搬、呼吸調整)

腎臓(糸球体濾過、イオン輸送、体液調整)

消化吸収(消化管機能、外分泌、)

内分泌(各種ホルモン、視床下部、)

生殖(性分化、生殖機能)

 

などです。

 

ざっと挙げた一覧を見てお分かりの通り、

扱う範囲は人体全身についてとなっています。

 

そのため、この先に勉強していく各診療科に

100%関係のある分野であるということです。

 

生理学を理解していないということは、

病気の機序を理解できないということに繋がり、

治療や薬の機序を理解しできないということに繋がります。

 

膨大な範囲のため勉強はすごく大変で、

全く気の抜けない分野となっています。

 

ただ、嫌々やっていては全然頭に入ってこないと思うので、

過去問も活用しながら、将来に必ず役立つと信じて

ひたすら勉強しましょう!!

 

 

教科書について…

 

推奨される教科書は、下に挙げる通りです。

 

『標準生理学』

最も一般的に医学生に使われている教科書。

日本人の先生が監修しており、イラストも豊富で分かりやすい。

 

『ガイトン生理学』

世界的に最も使われている生理学の教科書が日本語訳されたもの。

 

 

もう少し簡潔にまとめられた教科書もあるようですが、

それらは医療系学生が使いやすいようにまとめられています。

 

医学生はこのレベルの教科書を用いるほうがいいでしょう。

 

世界中の医学生や研究者が標準的に使っている教科書ですし、

レポートを書くときなどに使える情報量が違います。

 

生理学の立ち位置

 

基礎医学のひとつなので、試験は基本的に記述試験になっています。

 

何度も言ってきたように、

生理学は範囲が膨大であるため、

1年生の時に基礎生理学、2年生時に生理学といった感じに

二分して扱う大学もあるようです。

 

大学によっては試験が難しく、

進級への最大の関門となっている場合があるようです。

 

最後に

 

今回は「生理学」について紹介してきました。

 

このブログではこのほかにも医学生になった後に学ぶ教科について

随時紹介していますのでぜひ参考にしてください。

 

この記事が医学部を目指す皆さんにとって

入学後の生活の少しでもイメージしやすくし、

より医学部合格への気持ちを強めていただけたらうれしいです。

 

それでは。

医学生の日常~勉強編~ 「細胞生物学」

いつ勉強するの?

 

医学生は一般的に、

低学年(1年生、2年生)の時に一般教養基礎医学

中学年(3年生、4年生)の時に臨床医学を座学中心で勉強します。

そして高学年(5年生、6年生)になると病院実習へと移ります。

 

「細胞生物学」はその中で基礎医学に含まれている範囲で、

大学に入ってからまず初めに勉強することになる専門教科となっています。

僕の通う大学では1年生の前期で勉強しました。

 

内容としては高校生物発展を発展させたバージョンといったところです。

 

そう聞くと一瞬取り組みやすそうな内容のように感じますが、

覚える内容は高校時に比べてはるかに膨大。

 

高校で生物選択が有利と言われるのは、

この細胞生物学における基礎中の基礎を

あらかじめ知っているからというだけで……

 

実際には試験まで猛烈に勉強しないと

生物選択者でも全くわからない内容がほとんどです。

 

 

教科について

 

細胞生物学の内容としては主に、

・細胞の基本構造、細胞骨格。

・生体内の物質。

・各種代謝経路。

・生体内の情報伝達。

・遺伝とDNA。遺伝子の発現。

・細胞周期、体細胞分裂、減数分裂。

・細胞分化。

などです。

 

基本的には肉眼では観察できない物質を扱っている内容なので、

きちっと頭の中でイメージできないと理解が難しいかもしれません。

 

もちろん教科書のイラストや写真を活用することも大事になってきます。

 

 

教科書について

 

勉強に使用を奨励されることの多い教科書は、

『エッセンシャル細胞生物学』

 

『標準細胞生物学』

 

などです。

 

少しレベルを上げた内容まで求める学生にとっては

『Molecular Biology of the Cell』

 

もありますが、

専門家レベルであるうえに、

部活やバイト、他の勉強などで忙しい学生にとっては

少し分量が多すぎるかもしれません。

 

いずれの教科書にしても値段もさることながら、

本の厚みや重みがすごいです!!

 

医学生にとっては必須の教科書ではあるのですが、

持ち運びが本当に大変なことは否めません。

 

でも深い理解のため、

4年生の共用試験(CBT)でもここら辺りの内容は出題されるため、

購入しておくほうがいいのは間違いなくでしょう。

 

どの教科書も人体の細胞がどのような構造で、

どのような役割を果たし、どのように機能しているのか、

これらが多くのイラストとともに詳しく解説されています。

 

後は自分との相性や、イラストの好みなどで選ぶといいでしょう。

 

他の専門教科である「分子生物学」「生化学」ともリンクする内容でもあり、

後にそれらの講義が行われることを考えると

1年生のうちに「細胞生物学」をきちっと勉強しておくことが望ましいでしょう。

 

 

試験に関して

 

基礎医学の先生たちは一般的に記述問題の出題が多いのですが、

「細胞生物学」も例に漏れず、記述試験となります。

 

もちろん、一部が記号問題だったりすることはあったり、

先生、大学によって異なることがあるようですが……

 

先輩から過去問をもらって確認しておきましょう。

おおむね数年間似た形式で出題されると思うので、

そのように対策を立てましょう。

 

 

記述試験について

 

全く理解していない悲惨な状態で試験を迎えると、

何も書くことなく白紙で試験が終了してしまいます。

 

反面、記述試験であるがゆえに、部分点が与えられることが多く、

完璧な解答が書けていなくても部分点をかき集めることによって

及第点を与えられることがしばしあります。

 

そのため意外と記述試験は記号選択に比べて医学生にとって

喜ばれる試験となっています。

 

多くの先生は解答用紙を必死で埋めて提出すると、

少しでも加点してあげようと何かしら正しいことを書いていないか

良心的な目で採点をしてくれます。

 

きちっと勉強して知識を付けたうえで試験に挑むのが

一番いいのは言うまでもありませんが…

 

もし万一試験を受ける日に、勉強が間に合っていなかったとしても

学生は解答用紙を文字で埋め、懸命に誠意を見せることが

合格への非常に大切な心構えとなってきます。

 

少しでも覚えている内容を書き出しましょう。

 

 

最後に一言

 

今回は医学部に入学した1年生がはじめに受ける専門科目である

「細胞生物学」について紹介してきました。

 

この記事が医学部を目指す皆さんにとって

入学後の生活の少しでもイメージしやすくし、

より医学部合格への気持ちを強めていただけたらうれしいです。

 

それでは。