医学生の生活①

医学生の生活 ~第一弾~

 

医学部を目指す人たちにとって医学生の学生生活はどのようなものなのか気になるところですよね。

憧れの医学生生活は、つらい受験生生活のモチベーションにもなっているはずです。

実際のところはどのようなものなのか、紹介していきたいと思います。

 

第一弾となるこの記事では、大学での学業面に焦点を当て、

各学年のおおよその特徴を挙げていきたいと思います。

(各科目の講義が扱われる時期などは大学ごとに少し異なることはご了承ください)

 

医学生の勉強は大変?
<学年ごとの比較>

 

1年次

 

・一般教養 英語、第二外国語、数学、物理学など

総合大学の場合は自分で受ける講義を選択し自分だけの時間割を作ることができ、

他学部の学生と一緒に講義を受けることもあります。

嫌いな教科は選択しなければよく、顔を合わせる必要がなくなるため、

自分史上サイコーの時間割が作れるマス!

一方で単科大学の場合はあらかじめ時間割が決まっていることが多く、

数学、物理学なども必須になっている場合がほとんどです。

 

・基礎医学 細胞生物学、生化学、生理学、解剖学など

高校の生物の発展版のような感じのため、

生物選択の人にとっては少し理解がしやすい内容かもしれません。

しかし、内容は似ていても覚える量は桁違い。油断は禁物!!

各種実験用具の使用方法を学んだりするために、実験系の授業があったりもします。

 

2年次

 

・基礎医学 :生化学、生理学、病理学、微生物学、薬理学など

・基礎実習 :解剖実習、生理学実習など

解剖実習は2年次に行う大学が多いです。(ほかの学年に行う大学もあるようです)

実習が始まり医学生らしくなってきますが、まだまだ座学が中心の勉強となってます。

一般教養が減り、専門が増えるのでますます気合を入れて勉学に励む必要があります。

 

3年次/4年次

 

・臨床医学 外科、内科、産婦人科、小児科、精神科など

各診療科について実際に附属病院で日々診療に当たってらっしゃる先生方が授業をしてくれます。

基本的な病態や治療のみならず、最新の研究や治療法についての話もしてくれるので、自分のキャリアを考える上で大きく参考になることでしょう。

 

・CBT (Computer Based Testing) 

パソコン上で実施される320問から構成される試験

一人一人出題される問題が違うという変わった試験であり、

そのため成績もIRTと呼ばれる試験問題の難易度の差を考慮した値で評価されます。

臨床実習に参加するうえで必須の基本的な医学的知識が問われます。

IRTを400点以上取らないと実習に参加できず、即留年になってしまいます。

 

・OSCE (Objective Structured Clinical Examination) 

     臨床実習を行うための必要な臨床能力が身についているかを確認する実技試験。

病院で患者さんと接する上で必要な力を身に付けます。

 

CBTとOSCEは3年生の冬~4年生の夏ごろに実施されます。(大学によって時期が異なる)

両方を合格しないと臨床実習に参加することができない決まりとなっているため、

いずれか一つでも不合格ということは即留年を意味します!!

(一応再試を受けることができますが、25,000円の再試験料がかかってしまいます)

 

5年次/6年次

 

・ポリクリ(poliklinik)/院外実習 

病院の各診療科を数人の班に分かれてローテンションする臨床実習。

ポリクリは主に大学附属病院で先端で高度な医療現場を、

院外実習は市中病院で主に頻度の高い疾患を扱う医療現場を、

僻地の病院では主に地域医療を勉強していきます。

各大学いろいろな実習コースを用意しています。

院外実習はある程度、自分でコースを選ぶこともできます。

 

・試験勉強 卒業試験、国家試験のための勉強期間

卒業試験は大学ごとに時期は異なりますが夏から冬の期間に行われます。

国家試験は毎年2月上旬に全国一斉で行われます。

もちろん国家試験は追試なしの1発勝負!!

 

国家試験の受験資格は、医学科の教育課程6年間を終了した者にしか与えられないため、

卒業試験を通過しないと留年することはおろか、

その年の国家試験を受けられません!!!

一方でラッキーなことに、他学部生が卒業のために書かないといけない“卒論”が医学科にはありません

卒業試験がその代わりのようなものとなっています。

 

結論から言うと、医学生は在学中は常にある程度勉強し続けないといけません。

その中でも比較的に偶数学年が特に厳しい学年であるといわれることが多いです。

 

理由としては…

2年生…基礎医学系の先生が熱心にテストを作成してくれるおかげで、記述問題を含む難解な試験が多いから。

また、基礎医学の範囲は覚える量が膨大であるから。

4年生CBT,OSCEがあって勉強しないといけないから。

6年生卒業試験、国家試験があり、勉強漬けの日々になるから。

などがあります。

 

ほかにも、上級生になるにつれて

長期休暇も他学部に比べ大幅に短くなっていきます。

高校生の時よりも短くなってしまう場合もあります。

大学生らしい夏休みなどを送りたい場合は

1年生のうちに存分に楽しんでもらうしかありません。

 

医学科は勉強しないといけない範囲が広く、テストが非常に厳しいです。

また、医学科の実習は基本的に100%出席が求められます。

 

そのため、少しのヘマを犯しただけでも

他学部に比べて圧倒的に留年しやすくなっています。

実際、毎年学年で10人前後は留年をしてしまうため、

学年が上がるたびに学年のメンバーが少しずつ入れ替わっていきます。

 

これらの理由から、全国の医学科生のうち6年間で卒業できる生徒は

入学時の約8割程度に留まっています。

入るまでも、入ってからも大変なのが医学部医学科なのです。

大学によってこの進級割合に大きな差があります。

医学部受験雑誌などで取り上げられていることもあるので、

これを大学選びの一つの材料にするのもいいかもしれません。